東京の水辺を生かそう/文:山口昭

渋谷川という川をご存じでしょうか?
20数年前、渋谷警察署詰めの記者だった私は、駅南口の陸橋の上から、コンクリート壁に囲まれ水量も乏しいこの川を、毎朝眺めていました。

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その渋谷川に清流を復活させようという動きが進んでいます。駅南側の再開発に合わせて、稲荷橋付近から下流の並木橋まで約600メートルの区間に広場や緑の遊歩道を設け、下水を処理して流し、憩いの水辺に。2020年の東京五輪の前には完成し、来日する選手や観光客を迎える新たなおもてなしの場として賑わいそうです。

渋谷川は、もともと新宿御苑の池やパワースポットとして人気がある明治神宮の清正井などを水源とし、その支流は「春の小川はさらさらいくよ」でおなじみの唱歌のモデルでした。しかし、小田急線が走る代々木八幡駅近くの線路わきには「春の小川」の歌碑がひっそり立つだけで、川の面影はどこにもありません。

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明治通りと平行して、渋谷と表参道を結ぶキャッツストリート歩くと、おしゃれなスポーツウェアやファッション関係の店がずらり。週末はカップルで賑わう遊歩道ですが、なだらかにうねる道は、いかにも川にフタをした暗渠(あんきょ)のあとだと分かります。

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かつて渋谷川とその支流には水車があちこちにあったそうです。新宿御苑に近い多武峯(とうのみね)内藤神社わきの児童公園には、水車を動力としてこの地で鉛筆製造を始めた三菱鉛筆による「鉛筆の碑」が設置されています。

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50年前の五輪開催の際、渋谷付近の川は生活排水などの悪臭対策もありフタでふさがれます。他にも日本橋川など都心の川は、高速道で覆われてしまいました。

作家の故・池波正太郎は「江戸切絵図散歩」で、暗渠になった渋谷川を「味わいも風情もない」と嘆き、「江戸時代の開発は、先ず、川を掘って水運の便利をはかることから始まった。現代の開発なるものが川を埋め立てられることから始まるのとは反対だったのである」と書いています。

立秋を過ぎてもこの猛暑。「6年後の五輪までに温暖化がさらに進んだら」。いまから選手が熱中症で倒れないか気遣ってしまいます。舗装された道を歩くたび、川を渡る風の涼を感じたい気持ちになります。都心の水辺を生かさないのは、「もったいない」。五輪を期に渋谷川の再生が、東京の水辺と緑を取り戻す第一歩となることを願っています。

 
 
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   by mottainai-team | 2014-08-13 09:48 | MOTTAINAI Lab スタッフpr | Comments(0)
  
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